二部からはより色濃く

二部からはオタクだからこそ抱える悩みを表現している

そんなげんしけんも、一部が終了して2010年から『げんしけん 二代目』が連載されており、現在も好評となっている。軽く触れたが、二部からはげんしけんの主要な登場人物は女子大生へとシフトしており、基本的にオタクだが、属性的に『腐女子』と称される女性サークルへと変貌していった。これもある種時代による節目といったところか、またリアルタイムを連想させる群像劇によって続編でありながら、一貫して登場している一部の元レギュラーメンバーの大半は作中でほとんど登場しない。一人何故か深く関係している人がいるのは、ある意味仕様とでも言えばいいのかもしれないが、この作品ではそんな腐女子メンバーはどちらかといえばサブで、むしろ主題となっているのは主人公的な立ち位置として描かれているげんしけんに加入した男子学生を描いている。

ただ男子学生はただのオタクではなく、最近何かとネット上で見かける『腐男子』と呼ばれる少年だった。さっと説明すると、腐男子とはBLなどの男性同士、または女性同士といった同性による作品を好んでいる人々のことを指している。付け加えると、そうした同性同士の恋愛風景を好んではいるが、決して同性愛者というわけでは無い。作品を好きだとどうしても持たれる偏見だが、それも誤解の一言に尽きる。難しいかもしれないが、漫画家として活動などしていると、どうしてもそうした表現を用いている作品を見る必要があるといった、仕事に必要だからの精神が付いて回ってしまう。少しばかり違うが、必ずしも性癖がそちら側に傾倒していなくても見る必要がある、もしくは好んで見ているものだ。

ただ腐男子なる存在がオタク文化の中でも、かなりマイナーなものであるのかは言うまでもない、そしてその男子学生も普段はそのことをひた隠しにしているが、共通した話題を持つ知り合いをもちたいと思い、彼が取った行動は『女装』して男ではなく、一人の人間として趣味を分かち合いたいという手段だった。

漫画家になりたい!

東京をメインとした保育のお仕事求人サイト[保育のしごと.net]です。保育士の仕事保育士、幼稚園教諭、児童指導員などの求人あり。神奈川、埼玉、千葉など関東圏の保育のお仕事もご紹介しています。

悩みとなって苛まれる

興味があるものを好きと言ったら悪いわけでは無い、ただ趣味に対してすべての人が受け入れてくれるかどうかと聞かれたら、非常にナーバスな問題だ。二部での主人公的立場となる『波戸 賢二郎』という少年も同様の経験をしている。学生時代、思い切って同じものを好んでいる女子生徒にそのことをカミングアウトすると、そこから言われようのないいじめを受けることとなり、学校にいづらくなってしまうという苦い体験を味わってしまった。そこから素の自分ではなく、女性という作られた自分を演じることで近しい趣味の人々と親しくなれるようにと女装するようになる。

ある意味彼の行動は逃げとも取れるが、自分の趣味を偽りたくないと自分と同じ趣味を持っている人と友人関係になりたいという、ささやかな願いから起こした行動だといえる。だからこそだが、違う側面では正当防衛から来たとも受け取れるだろう。ただ女装を繰り返し行っていく中で、女装をしているときの自分と本来の男性としての自分という2つの側面を持ってしまったがために、苦悩する場面も描かれているのが、憎いところだ。

女装をすることで口調はおろか、人格までも女性になりきってしまうという神がかり的な技術の高さを見せるが、それは同時に彼の中にもう1つの人格を作り出すこととなる。それまでただBLという表現を好んでいるだけだったが、後に本当の自分はどちらなのかと葛藤するシーンが描かれており、それもまたオタク文化における自己投影による錯覚を引き起こしてしまっていた。コスプレなどをしていると起こりうる現象といってもいいかもしれないが、後に彼はそのことを吹っ切れてすべてが自分であると肯定した。

ただ吹っ切れすぎて、作中に登場する女子キャラクターよりも女性らしく、女性以上にスキンケアといった身体に関する手入れは念の入れようだから元から素質は高かった方だということは、作品を読んでみれば分かる。

暗殺教室

女性が多くなった分、恋愛要素が増えました

げんしけんの一部と二部、この両者で大きな違いとも言える特徴がある、それは恋愛要素が前面に出ているかどうかということだ。二部では女子キャラがメインとなっているため、そこで波戸が主に好かれる、という展開ではなく、なぜか第一部、そして二部でも主要キャラとして登場してくる『斑目晴信』というキャラが主に対象となる。むしろ波戸が女装をしている時に色々と便宜を計ってもらったこともあって、斑目には先輩以上の感情を持つようになり、それを糧に何かしら不純な妄想をもたれるようになるなど可哀相な位に愛されるキャラとなっていた。波戸以外にも好意を寄せていると思われるキャラがいるためどうにも騒がしいのだが、一部でも斑目はそれなりに恋愛要素を絡められるところがあった。

ただ一部でその恋が成就する事無く、卒業してからも就職するも不況による経営不振を感じて退職しているなど、こんなところでも現代の日本を感じさせる部分がある。色々な要素が増えており、無作為に様々なテーマを盛り込んでいると思われる今作だが、オタクが抱えることになる悩みなどを上手に表現しているため、オタクに偏見がある人はこちらの作品を読んでもらえればほんの少しではあるが、見方を変えてくれる作品かも知れない。

イマドキ、ウェブコミック

月刊誌アフタヌーンを語る